十数年前、2度目の個展の時のこと。
見知らぬ男性がこう言った。「よしいさんですか?」
「はい。そうですが。どちら様ですか?」
「こういうものです。」
と男性は一枚の名刺を差し出した。驚いた。
名刺には「吉井宏」と書かれていたからだ。
名前の脇に小さくイラストレイターと書かれていた。
「‘ぴあ’に同じ名前の人間が個展をしているのを見つけて、
気になったので来ました。
変な絵だといやだなーと思って・・。でもこれならいいです。」
それがイラストレイター吉井宏さんとの出会いだった。
吉井さんは、CGつまりコンピュータグラフィックで描く
イラストの世界で超有名な人だと知った。
のちに僕は芸術家としては「よしいひろし」と
ひらがなで名乗るようになった。
イラストレイター吉井さんとであったこと、
尊敬するイラストレイターたむらしげるさんにあやかったこと、
そしてひらがなは日本文化の中核である思ったこと、
以上三つの理由からである。
それにしても同姓同名の人が
同じ美術の分野にいることに驚いたが、
実はもう一人美術関係にいた。
造形教育体系シリーズで
「美術教育」について書いている吉井宏さんがいた。
まだいるかもしれない。
この日本に吉井宏という名前で創作活動をしている人が
他にもいるかも知れない。
そうしたら、全国吉井宏の会を立ち上げよう。
妄想は広がるばかりである。
それから10年以上たった、
新たな吉井宏の発掘には至ってない・・・。
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